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贈ることもできます。タイムダラーのなかで私たちが強調していることは、誰でも何かを与えることができ、受けることができる。お互いがもっている才能を発掘し交換するということです。
タイムダラーの中心になるのは、人間1人ひとりの尊厳を保つことにあります。例えば在宅で最後まで生活をしたい人が、周囲の人たちの愛に囲まれて生活をすることができますし、コミュニティのなかでも、若い人もお年寄りも、お金持ちも貧しい人も一緒に、また政治家・企業・住民の人たちも共同してネットワークを組んでできるボランティア活動だと思います。
タイムダラーではすべての人がパートナーになることができます。私たちが強調していることの1つに、今までは利用者、社会のお荷物と思われていた人たちに共同して何かを作り上げる生産者になってもらう、つまり双方向性があるということです。今までのボランティアは、ともすれば一方的に施しを与えるということがありましたが、タイムダラーでは、受けることも大切な要素です。ですから、タイムダラーというのは、福祉の面だけではなく、コミュニティ、地域全体で、生活の中でできることをできる時にする、人と人との助け合いです。
このように生活の中でお互いに助け合うことで、専門家、たとえばソーシャルワーカーやホームヘルパーの仕事を取りあげることにはならないだろうかとよく聞かれます。その答えとしては、タイムダラーはソーシャルワーカーとかホームヘルパーが時間がとれない隙間の部分を埋めていくものですから、決して行政の仕事を取りあげるものではありません、私たちの目的は地域の人たちみんながコミュニティをつくり、パートナーとなり、すばらしい社会をつくりだしていくことです。
●タイムダラーのつくり方(マイアミの場合)と役割
それではタイムダラーをどのようにして作ったのか、マイアミのケースを話します。まず第1に私がしたことは、地域のいろいろな分野の人たちに集まってもらいました。既存の各種のボランティアのグループ、企業関係、行政、病院、保健所、特別養護老人ホームなどの人たちに集まってもらい協力会を作りました。
そして次に私たちがしたことは、委員会を作ることです。協力会の中で役割を決めました。委員会の役割には、募金集め委員、マーケティング委員、ボランティア募集委員、それから規約制定委員などです。この規則は、できるだけシンブルでフレキシブルに対応できるように作ってください。ボランティア活動というのは楽しい仕事でなければいけませんので、書類を作るだけで手一杯という規則ずくめのものにならないようにということです。次に広報委員。自分たちが何をしているのかコミュニティの人たちに知ってもらうことはとても大切なことなので、PR活動が大切になります。最後にボランティア養成委員、これも大切な委員です。
次に大切なことが、目的を明確にすることです。もう少し詳しく言うと、自分たちが地域でできるサービスはどのようなものだろうか、地域の人たちの二一ズは何だろうか、サービスの内容を明確化します。そしてサービスのターゲットはどういう人たちなのか、高齢者なのか若年層なのか、こういったことを委員会で話し合います。

 

 

 

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